カミングアウトをしなくても

隠れゲイのmarutoが日々小さなことに挑戦するブログ

職場の小話 Part.7 ~とあるおっさんが退職した話~

先日、とある同僚が職場を退職した。

定年後再雇用として働いていたが65歳になり退職、いわゆる「2回目の定年」で。この同僚(以下「同僚A」)の退職に思いを馳せざるを得ない。

 

同僚Aのスペック

・巨漢

・体臭がきつい

・口臭もきつい

・独身(既婚歴なし、会話から推察するにおそらくノンケ)

・一貫して平社員

 

 このスペックから周囲からあまりよく思われていなかったということが分かると思う。事実、僕もそんなに良い印象を持たなかった。仕事も自己流で問題を見落としたり、隠したりして業務を引き継いだ時にだいぶ苦労した。突っ込んだ質問をすると嫌味を言ったり、逆切れしてきた。

 

アットホーム()な職場ではあったので明らかに爪弾きにされることはなかったけど、皆何となく彼を避けていたと思う。私に異性関連の話題を振ってきたときにほぼ必ず、「このままだと同僚Aさんみたいになっちゃうよ笑」と言ってみんなで笑うのがお決まりだった。僕は引きつった愛想笑いをすることしかできなかった。

 

そんな彼が先日退職のあいさつに来た。といってもコロナの影響で全員の前でお別れのあいさつをするわけではない。個別に近寄ってきて退職する旨を報告してきた。人員削減で仕事中もあまり余裕がなく、そんなに丁寧に接している人はいなかった。パソコンから目を話さずに聞き流している人もいた。

 

「これから何をして生きていけば分からない」そう言う彼の言葉を聞いて、気の利いた言葉をかけることもできず、僕との会話は終わった。ちょっと寂しそうな顔をして職場全体を眺めて彼は去っていった。感傷的なお別れムードになることはなく、すぐに皆自分の業務に戻っていった。今は業績がやばくてピリピリしている。皆必死なのだ。 

 

でも、そんな同僚Aの去り際を見て

「これは将来の自分の姿なんじゃないか」

そう思わずにはいられなかった。これまでもこれからもずっと一人で過ごしてきて、身なりや日々の言動について注意してくれる人もいない。年とともにプライドが肥大していって周囲から疎まれる存在になっていく。そんな同僚Aの今後を想像すると「孤独死」という言葉しか思いつかなかった。

 

だから今から恋人をつくろうとか、友達をつくろう、というところまで言うつもりはない。ただ行動には必ず結果が伴うというだけだ。 「ゲイだから孤独」と考えてしまいがちだけど、人間関係はセクシャリティに関わらずその人の生き方が反映されるものだ。

 

何かのせいにするのは簡単だけど、それを言い訳に「自分可哀そう」と自己陶酔しているといつか後悔する時がくる。そしてそう思ったときには遅いかもしれない。若さは一瞬でなくなる。今回の同僚Aの退職で自分の生き方を考えさせられた。